二世帯住宅で失敗しないためには

二世帯住宅での失敗談で一番多いものは、プライバシーの問題と金銭的な問題です。二世帯住宅とは文字どおり、二つのライフスタイルの違う世帯が一緒に住むということです。はじめはみんな仲良く助け合って暮らしていこうと決意してはじめた生活でも、長く暮らしてくるとだんだんその違いが見えてくるものです。とくにプライバシーの問題は深刻です。近年では不景気の影響や、若い世代の収入が低く、生活できないなどの経済的理由から親と一緒に暮らすことを考える人も多いようです。二世帯住宅もいくつかのタイプがあり、完全分離型といわれる、玄関が二つあるタイプのものであれば、最大限プライバシーの確保はできますが、新築で注文住宅を建てるとなると、どうしても費用がかさんでしまいます。キッチンやお風呂などの水回りを一部共有したタイプのものであれば、建築費用を抑えられますが、共有部分を増やせば増やすほど、それに伴ってプライバシーの確保もむつかしくなってきます。いつも見られているようで落ち着かなかったり、人の出入りなど気配が分かるので、気になってしまったりと、実際の生活を十分にシミュレーションしておかないとあとで困ったことになる可能性があるので注意が必要です。金額的なこともありますが、場合によっては、玄関を別にするとか、お風呂は別にするなど、ライフスタイルをよく考えて、なるべく気を使わないで生活できる空間も確保しておくことが大切です。もう一つの大きな問題が金銭的な問題です。特に光熱費や食費など、日々の生活にかかるお金は折半がむつかしいものです。両親のほうが長く家にいるのに光熱費が折半では納得がいかなかったり、若い世代のほうがよく食べるのに食費が折半だったりでは、なかなか双方納得のいくものにはならないかもしれません。完全分離型で、光熱費、食費などすべて各家庭で持つ場合を除き、少しでも共有するところがある場合は、生活を始める前に具体的な話し合いをしておいたほうが無難です。
また、二世帯住宅は多くの人が共同で生活をしますので、その収納や家具家電の利用についても、いささか問題があります。冷蔵庫やテレビを共有する場合は、多少の不自由があるでしょう。また収納に関しては、子供がいる場合には物が増えることが予想されますので、トラブルを避けるためにもあらかじめ予定しておいたほうがいいでしょう。せっかく建てる二世帯住宅です。住んでみて合わないから出ていくというわけにはいきません。長く助け合って生活していくために、納得のいく話し合いののち、デザインを決定していくのがいいでしょう。